ショップの名前は、SUMIRE JAPAN。

日本らしい柄をデジタルデータにして、海外の人に買ってもらえたら面白いな、くらいのところから始めています。

まだ、ほとんど売れていません。

というより、売れる気配すらありません。

まあ、店を開いただけなので当然です。

実店舗だって看板を出しただけでお客さんが来るとは限らないのに、世界中に何百万点も商品が並んでいるEtsyで、突然見つけてもらえると思う方がおかしい。

だから最近は、Instagramも作った方がいいんじゃないか、動画も使った方がいいんじゃないか、と考えています。

そういうことを考えているうちに、別の疑問が出てきました。

そもそも、

「日本らしいデザイン」って何だろう。

「和風」で探すと、何でも出てくる

海外向けの日本デザインを見ていると、本当にいろいろ出てきます。

桜。

富士山。

鳥居。

侍。

芸者。

浮世絵。

鯉。

波。

金魚。

扇。

全部、日本です。

間違ってはいません。

でも、なんとなく引っかかりました。

これを全部一緒にして、

「Japanese Design」

として売っていいんだろうか。

もちろん商品としてはいいんです。

売れるのであれば、それも正解だと思います。

ただ、自分がSUMIRE JAPANでやりたいこととは、少し違う気がしました。

浅草と鎌倉と京都

そこで、ふと思いました。

日本を旅行する外国人の人は、どう見えているんだろう。

浅草へ行く。

鎌倉へ行く。

京都へ行く。

全部、

「Traditional Japan」

に見えるのかもしれない。

浅草寺を見て、鎌倉の大仏を見て、京都で寺社を巡る。

確かに全部、日本の歴史です。

でも当然ながら、そこにある文化は同じではありません。

浅草で現在感じる「江戸らしさ」と、鎌倉の武家文化と、平安京の宮廷文化。

時代も違えば、社会も違う。

美意識も違う。

もちろん歴史は教科書のページのように、ある日突然きれいに切り替わるものではありません。

前の時代の文化は残るし、次の時代へ受け継がれていきます。

それでも、

何を美しいと思った時代なのか。

というところを見ると、かなり違う。

SUMIRE JAPANでは、そこを混ぜたくないと思うようになりました。

平安時代に絞ってみる

だから、まず平安時代の国風文化を中心にしてみようと思っています。

源氏物語。

紫式部。

十二単。

和歌。

扇。

四季の草花。

藤。

桜。

月。

霞。

色の重なり。

料紙。

金銀。

華やかだけれど、どこか静か。

派手というより、余白がある。

日本のデザインを考えていると、どうしても江戸時代の浮世絵や歌舞伎の力が強くなります。

分かりやすいし、海外の人にも知られている。

でも、もっと前にある日本の美意識を掘ってみたい。

そんなことを考えるようになりました。

「和柄」を増やしたいわけではない

たぶん私は、和柄をたくさん作りたいわけではないんだと思います。

むしろ逆です。

何でも「和風」にするのではなく、

これはどの時代の、どういう美意識なのか。

そこを考えながら作りたい。

侍も入れない。

浮世絵も入れない。

とりあえず富士山を置くこともしない。

「日本っぽいもの」を足していくより、

余計なものを削っていった方が、

結果として日本らしくなるんじゃないか。

そんな気がしています。

広告の仕事でも似たようなことがあります。

あれも伝えたい。

これも入れたい。

全部載せたい。

そうすると結局、何の広告なのか分からなくなる。

だから、

誰に。

何を。

どこまで。

を決める。

SUMIRE JAPANも同じなのかもしれません。

ただし、藤娘は入れたい

ところが一つ、困ったことがあります。

藤娘です。

藤娘は平安時代の文化ではありません。

分かっています。

そこは分かっているんです。

でも、入れたい。

理由は単純です。

娘が日本舞踊を長くやっていて、藤娘も踊っていたからです。

扇の練習もずいぶんしていました。

いま大学では史学を学び、平安文学を専攻しています。

そう考えると、

平安文化と藤娘。

歴史的には別のものなのに、自分の中では妙につながっています。

これを無理やり「平安文化です」と言うつもりはありません。

むしろ、

「これは平安ではありません」

と書けばいい。

SUMIRE JAPANの中心は平安。

でも、個人的に大切な日本文化も少しだけ置いてある。

それでもいいのではないかと思っています。

ブランドというものは、学術書ではありません。

正確さは大切だけれど、最後は人が作っています。

そこに個人的な理由が少しくらいあった方が、私は面白い。

日本らしさは、一つではない

海外に向けて日本のものを売ろうとして、逆に日本について考えるようになりました。

これはちょっと面白い経験です。

日本に住んでいると、

浅草も、鎌倉も、京都も、

当たり前に違う場所です。

でも外から見れば、

全部「JAPAN」なのかもしれない。

だからこそ、こちら側が、

「実は違うんですよ」

と伝えることにも意味がある。

SUMIRE JAPANで、どこまでそんなことができるのか。

まだ分かりません。

そもそも一枚も売れない可能性だってあります。

でも、それはそれでいい。

作って。

出して。

反応を見て。

また考える。

最近、何をやっても結局ここに戻ってきます。

来店設計室でも、広告でも、Etsyでも同じです。

実験してみないと分からない。

ただ、SUMIRE JAPANについては一つだけ方向が決まりました。

「日本っぽいもの」を何でも集める店にはしない。

まずは平安時代。

千年以上前の日本人が何を美しいと思ったのか。

そこから考えてみます。

売れるかどうかは、

そのあとです。

MEO、広告、SNS。どの手段が必要か決まっていなくても構いません。

いまの状況と、行く理由から一緒に整理します。

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