メニューが変わる。
料理の見せ方も変わる。
ランチもあれば、午後の時間帯もある。もちろんディナーもある。
それぞれに魅力があって、伝えたいこともたくさんあります。
さて、これをどうやって伝えようか。
そんなことを考えながら、ポスターの構成を検討しています。
全部伝えようとすると、何も伝わらない。
最初に考えるのは、当然ながら新しい店の魅力をどう見せるかということです。
料理の写真を並べる。
新しいメニューを紹介する。
店の雰囲気を伝える。
リニューアルしたことも知らせたい。
どれも必要な情報です。
でも、それを一枚のポスターに詰め込んだらどうなるだろう。
きれいな写真があって、料理の説明があって、価格があって。
じっくり見れば、きっと分かる。
でも、そこで思ったのです。
誰が、そんなにじっくり見てくれるんだろう。
ポスターを見るのは、一瞬だ。
広告の仕事を30年以上やってきました。
商業施設のポスターも、飲食店の販促物も、ずいぶん作ってきました。
それなのに、今でもこんなことを考えています。
そもそもポスターは、読んでもらうものなのだろうか。
通りがかりの人が、何となく目を向ける。
おいしそうだな。
何だろう、これ。
ちょっと気になる。
最初は、その程度なのかもしれません。
そこで興味を持ってもらえなければ、細かい説明をいくら書いても読まれない。
もちろん、価格や営業時間などの情報も大切です。
でも、それは興味を持った後に確認する情報なのではないか。
「変わりました」だけでは、足りない。
今回の仕事はリブランディングです。
つまり、これまでとは違う店の魅力を伝えたい。
「新しくなりました」
「メニューが変わりました」
そう書くことは簡単です。
でも、それを見た人はどう思うだろう。
何が変わったのか。
自分に関係があるのか。
行ってみたいと思えるのか。
店にとって大きな変化でも、お客さんにとっては、まだ何も起きていません。
新しくなったこと自体が、来店する理由になるとは限らないのです。
一枚のポスターに、何を任せるのか。
考えてみれば、すべてを一枚で説明する必要はありません。
ポスターで興味を持ってもらう。
詳しい料理はメニューで知ってもらう。
店の雰囲気は動画で伝える。
場所や営業時間は検索して確認してもらう。
それぞれに役割があります。
ポスターは、その最初のきっかけを作ればいい。
そう考えると、何を大きく見せて、何を小さくするのか。
何を残して、何を削るのか。
判断する基準が少し変わってきます。
ただ、これが難しい。
店には伝えたいことがたくさんある。
作る側にも、見せたいものがたくさんある。
でも、お客さんはそんな事情を知りません。
30年やっても、まだ悩む。
最近はAIを使って、ポスターのイメージを考えることもあります。
なかなか立派なものが出てきます。
写真もきれいです。
文字の配置も、それなりに整っています。
でも、眺めているうちに思うのです。
これ、何を伝えたいんだろう。
見た目が整っていることと、伝わることは違う。
そんな当たり前のことに、また戻ってきます。
広告の仕事は、つくることでは終わりません。
見た人が、何かを感じる。
気になる。
調べてみる。
そして、行ってみようと思う。
そこまで考えて、ようやく広告になるのだと思います。
今回のポスターも、まだ検討の途中です。
どんな一枚になるのか。
もう少し悩んでみようと思います。
そこへ行くには、理由がある。
その理由を、一瞬で伝える。
なかなか難しい仕事です。
