独立してt-styleを始めてから、

「自分はいったい何をする人なんだろう」

と、以前より考えるようになったからです。

Google広告もやる。
Instagram広告もやる。
チラシも作る。
動画も作る。
Googleビジネスプロフィールも触る。
メニューやポスターも作る。

広告の仕事を30年もやっているので、できることを並べればいろいろあります。

でも、

「あなたの仕事は何ですか?」

と聞かれると、それだけではどうもしっくりこない。

そんなことを考えながら昔の資料を見ていたら、少しずつ自分の仕事がつながってきました。

仕事が楽しくなったのは、SC担当になってからだった

2020年、社内の管理職研修で自己紹介をするために作ったPowerPointがあります。

そこには、

「ショッピングセンター担当になりました。」

というページがあります。

そのあとに、

「仕事が好きだ(SC)」

そして、

「仕事が楽しくなりました。」

と続いています。

今見ると、ずいぶんストレートです(笑)。

でも、たぶんここが一つの原点だったんだと思います。

広告会社に入ったから、最初から広告の仕事が大好きだったわけではない。

いろいろな仕事をやってきた中で、ショッピングセンターの販促を担当するようになった。

そこで仕事が面白くなった。

なぜだったのか。

今なら、少し分かる気がします。

SCの販促は、広告だけでは終わらないからです。

店がある。
人がいる。
街がある。
テナントがある。
運営会社がある。
季節がある。
競合がある。

そこへ実際に人を呼ばなければならない。

ポスターを作って終わりではない。

イベントをやって終わりでもない。

本当に人が来たのか。

そこまで見る仕事でした。

おそらく私は、その辺りから「広告を作ること」よりも、

人がなぜ動くのかを考えること

の方が面白くなっていったんだと思います。

2017年、江戸時代まで遡っていた

そして2017年。

一本の論文を書きました。

タイトルは、

「歴史から販売促進活動を学ぶ
―これからのために販売促進活動の過去を遡る―」

です。

38ページあります。

我ながら、よく書いたと思います(笑)。

内容は江戸時代の販売促進です。

日本橋。
越後屋。
引札。
浮世絵。
歌舞伎。
口コミ。
イベント。
看板。
暖簾。

なぜ江戸時代まで遡ったのか。

当時すでにインターネットやSNSが普及し、販売促進の方法がどんどん複雑になっていました。

そこで、

「そもそも販売促進とは何なんだろう」

と考えた。

新しい媒体を追いかけるより、一度昔まで戻ってみようと思ったようです。

今と同じですね。

分からなくなると、根っこまで戻る(笑)。

越後屋がすごかったのは、チラシではなかった

江戸時代の越後屋、現在の三越の祖です。

三井高利は、それまでの商売の常識だった掛け売りをやめ、「現銀掛値なし」という新しい売り方を始めました。

必要な分だけ買える切り売りも行った。

つまり、まず商売そのものを顧客に合わせて変えた

その新しい価値を、引札、今でいうチラシによって広く知らせた。

さらに屋号やマークを看板や暖簾などに使って、ブランドまで作っていた。

これを2017年の自分は面白がっていました。

改めて読むと、ここはかなり重要です。

先に媒体があるわけではないんです。

先に顧客がいて、商売の仕組みがあり、提供する価値がある。

そのあとに、

「それをどう知らせるか」

がある。

つまり2017年の時点ですでに、

広告は最後なんじゃないか

という感覚があったのだと思います。

店に人が集まってこその商売

論文の最後の方には、こんなことも書いています。

江戸時代の商店も現代のショッピングセンターも、

「店に人が集まってこその商売」

である。

そして、そこには商圏が存在する。

だから商圏の中にいる人々を、どう施設へ集客するかが重要なのだ、と。

2026年になって井土ヶ谷のワークスペースの販促をやり、

どこまでを徒歩圏とするか。
競合のある方向はどこか。
どこへポスティングするか。
駅徒歩1分をどう伝えるか。

そんなことを考えました。

媒体はずいぶん変わりました。

でも、考えていることはあまり変わっていません。

「安いですよ」だけでは人は来ない

2017年の論文には、

ショッピングセンターは単に安売り情報を伝えるのではなく、

その施設が何を目指しているのかを発信しなければならない

ということも書いています。

そして、心地よい環境、サービス、ホスピタリティ、エンターテインメントなどを整え、「また来たい」と思われる場所にしなければならない、と。

これも今考えていることと近い。

広告をたくさん出したところで、

そこへ行く理由がなければ弱い。

どんな場所なのか。
何をしに行くのか。
そこでどんな時間が過ごせるのか。

それが先です。

人が自然と集まる場所

さらに、

「施設は単に売り物を売っている場ではなく、人が自然と集まる仕組みが必要」

とも書いています。

賑わい。
非日常感。
イベント。
口コミ。

人が集まり、その様子がまた次の人を呼ぶ。

そしてショッピングセンターについて、

「単に商業施設ではなく地域に根ざしたコミュニティハブ」

であると書き、

究極的には、

「このショッピングセンターがあるから、その地域に住みたい」

と思われる存在になることが理想だとしています。

今読むと、

「ああ、自分は昔から、広告そのものより場所と人の関係を考えることが好きだったんだな」

と思います。

だからSCの仕事が楽しくなったのかもしれません。

そして2019年

その2年後、2019年。

ショッピングセンターについて教えるために作った資料があります。

そこで私は、

「SCとは小売業ではなく、不動産業である」

と書いています。

そして、

「場・街の価値を上げて利益を稼ぐ」

仕事だと整理しています。

さらに最後には、

「SCの飽和状態 どうやって選んでもらえるか」

という問いを置いています。

その場でなければ味わえない感動。
情報発信によるイメージづくり。
地域のインフラになること。

そんなことを考えていました。

2017年には、

顧客を見る。

2019年には、

場所の価値と、選ばれる理由を見る。

少しずつ、今の考え方に近づいています。

そして2026年、「来店設計」という名前がついた

独立してt-styleを始めて、

「来店設計」

という言葉を使うようになりました。

その中心に置いているのが、

「そこへ行くには、理由がある。」

です。

実店舗の集客というと、

Googleで見つけてもらう。
Instagramで知ってもらう。
広告を出す。
チラシを配る。

そんな話になりがちです。

もちろん、それも必要です。

でも、見つけてもらっただけでは人は来ません。

その先に、

「なぜ他ではなく、そこへ行くのか」

が必要です。

料理なのか。
価格なのか。
場所なのか。
空間なのか。
人なのか。
そこでしかできない体験なのか。

その理由を見つける。
必要なら商品やサービスも整える。
伝わるようにする。
来店しやすくする。
実際に来てもらう。
満足してもらう。
そして、その体験がまた次の人へ伝わる。

今は、それを「来店設計」と呼んでいます。

原点は「賢い消費者でありたい」

2020年の自己紹介資料を最後まで見ると、もう一つ自分らしい言葉が出てきます。

「賢い消費者でありたい。」

そして、

「『買う』を提供」

と書いています。

これも意外と重要なのかもしれません。

私は広告を作る側ですが、同時にずっと消費者でもあります。

この店、本当に行きたいか。
この値段なら払うか。
このチラシを見て動くか。
この場所までわざわざ行くか。
並んでまで食べたいか。
また来たいと思うか。

広告を作る側の都合だけではなく、

自分だったらどうするか。

という目線をずっと持っていたい。

それが「賢い消費者でありたい」という言葉だったのだと思います。

そして、もしかすると今の「来店設計」も、そこにつながっています。

販促とは、顧客を見続ける仕事

2017年の論文の最後には、こんなことを書いていました。

販売促進とは、

顧客のニーズと、自分たちの事業が合っているかを確認する作業である。

顧客の反応によって検証しなければならない。

時代が変われば販売促進の方法も変える。

そのためには、

顧客の生活を細かく観察する。

そして最後は、

「私たちは常に顧客を見続けなければいけない」

と締めています。

2017年の自分が書いた文章ですが、

今読んでも、ここはほとんど変わっていません。

Google広告を使うか。
Instagramを使うか。
チラシを使うか。

媒体なんて、時代によって変わります。

江戸時代は引札だった。
2017年にはSNSだった。
2026年にはAIまで使うようになった。

でも、

人は何を求めているのか。

なぜ動かないのか。

何があれば動くのか。

そこを見ることは変わらない。

そのあとに広告があります。

30年やって、ようやく分かった

広告の仕事を30年やってきました。

それでも、

「あなたは何をする人ですか?」

と聞かれると、意外とうまく答えられないものです。

会社員だった頃は、それでも困りません。

会社があり、部署があり、案件があり、自分の役割があったからです。

でも独立すると、自分で自分の仕事を説明しなければならない。

昔の資料を読み返してみて、ようやく少し分かってきました。

SCの仕事をするようになって、仕事が楽しくなった。
2017年には江戸時代まで遡って販売促進の本質を考えていた。
2019年には、場所の価値と「どうやって選んでもらうか」を考えていた。

そして2026年になって、

ようやくそれを、

「来店設計」

という言葉で呼ぶようになった。

私は広告を作る前に、

「なぜ人が動かないのか」

を考えている。

そして、

「何があれば人は動くのか」

を考えている。

場所を見る。
人を見る。
商圏を見る。
商品を見る。
体験を見る。

そして最後に、

どう伝えるかを考える。

たぶん、それをずっとやってきたんだと思います。

名前がついたのが最近だっただけです。

そこへ行くには、理由がある。

30年やって、

ようやく自分が何をしてきたのか、少し分かってきました。

まあ、

まだ途中ですけどね。

MEO、広告、SNS。どの手段が必要か決まっていなくても構いません。

いまの状況と、行く理由から一緒に整理します。

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