SUMIRE JAPAN DESIGNという小さなショップです。

日本の文化や平安時代の美意識に着想を得た柄を作って、海外の人に買ってもらおうとしています。

在庫はありません。

発送もありません。

データを作って、商品として登録すれば、世界中の誰かが買える仕組みです。

作るのは、なかなか楽しい。

最初は、これは面白いと思いました。

AIを使えば、昔なら考えられなかったようなデザインが作れます。

藤の花も、桜も、平安時代の宮廷を思わせる風景も。

紫や金を使った華やかな絵も、次々と生まれます。

それを商品にして、英語で説明を書いて、ZIPファイルにまとめて、Etsyに出品する。

なかなか楽しい作業です。

商品も少しずつ増えました。

Instagramも始めました。

YouTubeにも動画を投稿しました。

15秒のショート動画だけでなく、3分間の商品紹介動画まで作りました。

ところが。

売れません。

1点も。

正確には、売れる以前に、ほとんど見られていないのです。

商品を作っている本人としては、なかなかきれいにできたと思っています。

もっとも、自分で作ったものですから、多少のひいき目はあるでしょう。

それでも、これなら誰かが買ってくれるのではないか。

そんな期待はありました。

でも、現実はそう簡単ではありません。

買った人が、それを何に使うのか。

そこで、Etsyの競合商品を調べ始めました。

海外のショップには、驚くほどたくさんのデジタル素材が並んでいます。

数百柄、1000柄以上という商品も珍しくありません。

カバー画像もきれいです。

収録内容が分かりやすく、購入した素材でどんな作品を作れるのかまで丁寧に見せています。

ジャンクジャーナル。

スクラップブッキング。

カードやコラージュ。

なるほど、こういうものを作る人たちが買うのか。

考えてみれば、当たり前のことです。

でも、私はそこを十分に考えていませんでした。

日本の美しい柄を作ることばかり考えていたのです。

買った人が、それを何に使うのか。

なぜ、数ある商品の中からSUMIREを選ぶのか。

その答えを用意していませんでした。

AIかどうかを判断する以前に、店に来ていない。

さらに、AIで制作したことが売れない理由なのではないか、とも考えました。

AIの画像なんて、誰でも作れる。

そう思われてしまうのではないか。

でも、少し考えて、おかしいことに気づきました。

そもそも商品ページを見ている人がほとんどいないのです。

AIかどうかを判断する以前に、店に来ていない。

私は30年間、広告の仕事をしてきました。

商業施設や飲食店に、どうやってお客さんを呼ぶか。

何を伝えれば興味を持ってもらえるのか。

どうすれば、わざわざその場所まで来てもらえるのか。

そんなことをずっと考えてきたはずです。

ところが、自分の店になると、商品を作ることに夢中になっていました。

来店導線を設計していなかったのです。

これは、ちょっと情けない。

でも、面白い。

自分が広告主になると、こんなに簡単に大切なことを忘れるのかと思いました。

SUMIREの看板商品を、作ってみようか。

もう一つ気づいたことがあります。

SUMIREには、店の顔になる商品がないのではないか。

藤も、桜も、源氏物語を思わせる柄もあります。

でも、初めて店を見た人に「この店といえば、これです」と言える商品がありません。

だったら、作ってみようか。

ということで、平安文化に着想を得た模様を1000柄作ることにしました。

1000です。

我ながら、ずいぶん思い切った数字です。

金色を大胆に使って、紫を効かせて、雅で華やかな柄を1000種類。

もちろん、ショップの名前にもなっている菫も忘れません。

これを、SUMIREの看板商品にしてみたいと思っています。

1000柄作れば売れる、とは思っていない。

ただし、1000柄作れば売れるなんて、まったく思っていません。

商品が10点でも売れないのに、1000柄にしたら売れる。

そんな簡単な話なら、誰も苦労しません。

むしろ、これまでと同じ間違いを1000回繰り返す可能性だってあります。

大量に作ることが目的になってしまったら、また振り出しです。

だから今度は、作る前から使い道を考えます。

どんな人が、何を作るために買うのか。

検索結果で、どんなカバーなら目に留まるのか。

商品ページで、何を見せれば安心して買えるのか。

そして、この商品を入口に、ほかの商品にも興味を持ってもらえるのか。

そこまで含めて、1000柄の商品を設計したいと思っています。

今度は、自分の店で試してみる。

売れるかどうかは、分かりません。

正直、失敗する可能性の方が高いのかもしれません。

でも、商品が売れない理由をAIのせいにしているより、よほど面白い。

そもそも、広告とは何だったのか。

お客さんは、何をきっかけに店を訪れるのか。

自分で商品を作り、自分で売ってみると、長年やってきた仕事をもう一度最初から学んでいるような気分になります。

在庫もない。

発送もない。

まだ売上もない。

あるのは、小さなEtsyショップと、1000柄を作ろうという少し無謀な計画だけです。

さて、どうなることやら。

そこへ行くには、理由がある。

ずっと考えてきたことを、今度は自分の店で試してみようと思います。

MEO、広告、SNS。どの手段が必要か決まっていなくても構いません。

いまの状況と、行く理由から一緒に整理します。

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