プレオープン期間中、館内でレシートホルダーが配られていました。
買上げレシートを入れ、後日の指定日に交換所へ持って行くと、お買物券がもらえる。
その場で値引きするのではなく、もう一度施設へ来てもらう仕組みです。
私は記事を書いただけではなく、4日後に実際に交換へ行っています。
そこで、企画を考える側と、参加する側の間にあるものが見えてきました。
その場で得をして終わらせない。
キャンペーンの内容は、レシート1万円分で500円分のお買物券を受け取れるというものでした。
ただし、交換できるのは買い物をした日ではありません。
指定された後日、もう一度施設へ行く必要がありました。
値引きだけを見れば、5%の還元です。
でも販促として面白いのは、還元率よりも日を分けたことです。
一度来た人に、もう一度来てもらう。
受け取ったレシートホルダーが、次の来店の理由になる。
2009年の私は、どのくらいの人が戻ってくるのだろう、と考えていました。
実際の参加率や売上への効果は、記録からは分かりません。
ただ、私は戻りました。
少なくとも一人の行動は、きちんと動いたのです。
参加条件が分からないと、人は途中で止まる。
最初の記事で、私は有効なレシートの期間が分かりにくいと書いています。
プレオープン期間のレシートだけなのか。
交換日までの買い物も対象なのか。
配布物を見ても、はっきり理解できなかったのでしょう。
企画を作る側は、条件を知っています。
だから、説明したつもりになりやすい。
でも参加する人は、初めてその案内を見ます。
いつのレシートが使えるのか。
いつ、どこへ行けばいいのか。
何を持って行けばいいのか。
一つでも分からなければ、参加しない理由になります。
魅力を伝える前に、迷いをなくす。
販促物には、その仕事もあります。
戻ってきてもらった後にも、体験は続く。
4日後、私は実際に施設へ行きました。
交換所は、カードカウンターの横にある会議室のような場所でした。
記事では、ひっそりとしていたと書いています。
それでも交換所を見つけ、500円分のお買物券を受け取りました。
ここまでなら、再来店施策として一つの目的を果たしたように見えます。
でも、お客様の体験は、来店した瞬間には終わりません。
交換所を探す。
手続きをする。
お買物券を受け取る。
そして、その券を使う。
企画には、その先があります。
もらった券が、使いたい店で使えなかった。
受け取ったお買物券には、使えない店舗がありました。
2009年の記事には、当時施設内にあった複数の大型店で利用できなかったと記録しています。
私は、こりゃ不便だ、と書いています。
再来店して、交換所を見つけ、券を受け取った。
それなのに、使おうと思った店では使えない。
もちろん、利用条件には契約や運用上の事情があったのでしょう。
すべての店で使えるようにするのが難しいこともあります。
でも参加する側には、その事情は見えません。
期待して戻ってきた分だけ、使えないと分かったときの残念さも大きくなる。
特典の金額だけではなく、受け取った後に気持ちよく使えるか。
そこまで含めて、キャンペーンなのだと思います。
30年以上やっても、最後は参加者として歩いてみる。
私は30年以上、広告や販促の仕事に関わってきました。
企画書の上では、再来店という言葉を簡単に使います。
再来店を促進する。
回遊を高める。
買上げにつなげる。
言葉にすれば、きれいです。
でも実際のお客様は、配布物を受け取ってから、いくつもの小さな行動をします。
条件を読む。
忘れずに保管する。
指定日にもう一度出かける。
交換場所を探す。
券を受け取り、使える店を確認する。
その途中に一つでも面倒や分かりにくさがあれば、行動は止まります。
だから販促を考えるときは、参加者になったつもりで最初から最後まで歩いてみる。
もう一度来てもらうことは、ゴールではありません。
戻ってきた人に、来てよかったと思ってもらえるか。
そこまで考えて、ようやく一つの販促なのだと思います。
