仕事ではありません。
普通に食事をしに行っただけです。
店はきれいです。
料理にも、ちゃんと魅力がある。
もっとお客さんが来てもよさそうなのに。
そんなことを考えながら食べていました。
広告の仕事を長くやっていると、どうもいけません。
客として店に入ったはずなのに、
「ここにチラシを入れたらどうだろう」
「Instagram広告なら、このくらいの範囲でいいかな」
「Google広告も少しやった方がいいかもしれない」
と、勝手に考え始めます。
完全に余計なお世話です。
3万円くらいで、何かできないだろうか。
大きな広告予算を使うような話ではありません。
むしろ、小さく始めればいい。
チラシを作る。
近隣に配る。
Instagramで少し広告を出す。
Googleでも検索されたときに見つけてもらえるようにする。
全部をいきなり完璧にやる必要はありません。
まずやってみて、反応を見る。
そんなことなら、月3万円くらいからでも何かできるんじゃないか。
そう思いました。
もちろん、広告費も印刷費も配布費もあります。
3万円ですべてができるわけではありません。
でも、何もしないまま待っているより、
一つずつ試していく方法はある。
来店設計室で考えていることは、まさにそういうことです。
名刺を渡してみた。
食事を終えて、
少し迷いました。
名刺を渡すか。
やめておくか。
食事をしに来ただけなのに、急に営業するのもどうなんだろう。
でも、
何もしなければ何も始まりません。
結局、名刺を渡しました。
ほんの一言です。
集客のお手伝いをしています。
もし何かあれば。
その程度だったと思います。
そして店を出てから気づきました。
ところで、あの人に名刺を渡してよかったのだろうか。
店長が、広告を決められるとは限らない。
その店は、個人経営ではありません。
フランチャイズの店舗です。
店長がどこまで販促について決められるのか。
広告予算を持っているのか。
チラシを配っていいのか。
Instagram広告を出していいのか。
そもそも、本部の承認が必要なのか。
私は何も知りません。
考えてみれば当たり前です。
店の課題が見えたからといって、
目の前にいる人が、その課題を解決する権限を持っているとは限らない。
広告会社にいた頃なら、
販促担当者や本部の担当者と打ち合わせをしていました。
話をする相手は、最初からある程度決まっていた。
でも、独立すると違います。
まず、
誰と話せばいいのか。
そこから始まります。
課題を見つけることと、仕事をもらうことは別だった。
広告のことを考えるのは好きです。
店を見れば、
「こうしたらもっと来るんじゃないか」
と考える。
それ自体は、昔からあまり変わっていません。
でも、
それを実際の仕事にするには、
別の力が必要です。
誰に話すのか。
どう伝えるのか。
いくらなら始めてもらえるのか。
そもそも、相手は困っているのか。
こちらが課題だと思っていることを、
相手も課題だと思っているとは限りません。
広告の提案以前の問題です。
営業って、こういうことなのかもしれない。
30年間、広告の仕事をしてきました。
でも、
自分で名刺を持って店に入り、
自分で仕事を作ることについては、
まだまだ初心者です。
名刺を一枚渡しただけなのに、
いろいろ考えてしまいました。
誰に渡せばよかったのだろう。
何と声をかければよかったのだろう。
そもそも渡さない方がよかったのだろうか。
分かりません。
ただ、
店を出て何もしなかったよりは、
一歩だけ進んだような気もしています。
連絡が来るかどうかは分かりません。
たぶん、来ないかもしれません。
でも、
それならまた別の店で考えればいい。
広告の仕事を30年やってきましたが、
営業の勉強は、
どうやら今から始まるようです。
